組織として勝つために営業マネジャーに求められることを野球に重ねて考えてみた
こんにちは、homie株式会社の不動産営業DXおじさんこときのしたです。
今年の日本シリーズ、大熱戦でしたね。野球好きにはたまらない好ゲームが続きました。お互いの監督のチームに対する考え方がよく出ていて、非常に面白かったです。
やはり、スポーツは、戦い方・勝ち方という観点で非常に参考になります。そして、野球というスポーツは特に個人と組織の両面で戦う必要があるので題材にしやすいと感じています。
よく野球を題材に記事を書いていますが、営業組織は野球型組織と照らし合わせると学びが多いと思っています。今日は、”野球組織から学ぶ営業組織の勝ち方”について書いてみたいと思います。
野球の魅力と営業組織の魅力の共通点
以前にも、イチロー選手の引退会見からの引用をさせていただきました。今回は、”野球というスポーツの魅力は?”と聞かれたことへの回答を引用してみます。
野球と他の競技との大きな違いはここにあります。
9人のプレイヤー、20人近くのベンチ入りメンバー同士で戦っていますが、攻撃の時に、ピッチャーと対峙するプレイヤーはバッター1人です。つまり、チーム同士の戦いの中に、個人としての戦いが含まれています。
そして、そのバッター個人の成果の積み重ねが、チーム全体の成果に影響します。また、1番~9番まで打順がありますが、決して序列(優劣)ではありません。チームとして最も攻撃力が上がるように、個性を見極めた上で配置をしています。
この話、営業に似ていると思いませんか?
営業も、組織として数字(売上)と向き合いながらも、最小単位は個人の数字(売上)です。そして、個人が自身の数字と向き合いながらも、組織としての数字もみんなで意識して追っています。そして、組織みんなで成果に対して喜び合う。これが、営業組織の魅力です。
ただ一方で、”チームとして勝てているから個人の成績は関係ないかと言われるとそうではない。”というのがシビアな点です。”個人個人の力をどう伸ばしながら、どう組織として戦うのか。”これを突き詰めながら成果を追い求めるのが、営業組織であると考えています。
One for All,All for Oneの本当の意味
ただし、野球組織と営業組織が大きく異なるのは、1人1人のバッターの連動性が重要になる野球に対して、営業は、個々がそれぞれのプロセスを追った結果の足し上げになるため、個人事業主の集まりになってしまうことが多いということです。
究極、隣のメンバーが売上を上げようが上げまいが、自分には全く関係ないですし、自身の成果に邁進して1人で頑張っていたとしても、成果が出続けているなら問題ないでしょ?という考えも理解できます。
では、なぜ組織である必要があるのか?
それは、1人よりもみんなで戦ったほうが強いからです。
営業がお客様先に行く時は大体1人です。うまく行った時も、うまく行かなかった時も、1人で頑張っていると辛かったり寂しかったりする瞬間があります。
そんなときに、誰かも一緒に同じ方向を向いて頑張っていると思えるだけで、もうひと踏ん張りできたりするものです。One for All,All for Oneという言葉がありますが、意外と誤った意味で理解している方が多いです。
”1人はみんなのために、みんなは1人のために。”が一般的に認識されている意味だと思いますが、”1人はみんなのために、みんなは1つの目的のために”が本当の意味です。
個人の業績だけを追い求めて、ただひたすらに自分1人で頑張ることも、自身のナレッジを共有せずに自身で溜め込んで行くこともできます。
でも、1人1人がそれぞれ必死に戦い、自分の経験や成功体験・失敗体験を共有し合いながら、チームとして1つの目標の達成に向けて走るという感覚は営業としての醍醐味だったりします。
月末の最後の粘り、みんなで知恵を出し合う瞬間、誰かの受注報告に湧くオフィス、商談に行く時に送り出す一言、失注にみんなで悔しがる瞬間、このチームスポーツの感覚は、営業ならではなのではないでしょうか?
結局は、組織としてどう勝つかを決められるか
しかし、このチーム感が勝手に出来上がるかと言われるとそうではありません。その時に大事なのが、監督である営業マネジャーの存在です。
プロ野球やチームスポーツを見ていると顕著です。昨年とメンバーが変わらないのに、監督が変わるだけで、チームが一変して優勝することが普通に起こり得ます。
マーケティングにおいては、Where to play(どこで戦うか)とHow to win(どうやって勝つか)が重要ですが、営業も同じです。戦う場所は、既存で向き合っているマーケットになりますので、「どう勝つか」をとにかく突き詰めることが大事です。
つまりは、戦略です。
”戦略”についても様々な表現がありますが、端的に言えば、「目的を達成するために資源(リソース)をどう使うかの方策」です。
そして、組織における最大の資源(リソース)は、”人”です。
監督(=マネジャー)によって成果が変わるのは、所与の条件である”人”をどう活用し、最大の成果を出すか?という命題に対する答えが異なるからです。
そういう意味でも、今年の日本シリーズは非常に面白かったです。久しぶりに第7戦(最終戦)までもつれるか?というぐらいハラハラドキドキの展開、1試合1試合が手に汗握るまさに死闘の繰り返しでした。
そもそも、オリックスもヤクルトも前年最下位チームです。日本一になったヤクルトは2年連続最下位です。
メンバーもそんなに大きく変わっていない中で、個々人の能力を見極め、伸ばすべき人を伸ばし、各人の役割をきちんと決めて、その中で1人1人がプロとして仕事を全うするということを監督がきちんと導き、徹底した結果です。
しかし、注意が必要なのは、マネジャーが変わったからと言ってすぐに結果が変わる訳ではないということです。
中嶋監督(オリックス)も、高津監督(ヤクルト)も、就任したのは2019年オフからです。おそらく、監督になる前から二軍監督や一軍投手コーチとして在籍はしていました。この時期におそらく選手をじっくり観察していたのだと思います。
そもそも、プロ野球選手になれる人達は、才能に溢れた人達です。その才能に溢れた人達であっても、上に立つ人次第で才能が開花するか否かが変わることがよく分かります。
そして、組織として何を大事にするかによって成果が大きく変わります。先日も、「営業組織として大事にすることを決める」ことの重要性を書きましたが、オリックスは「全員で勝つ」、ヤクルトは「絶対大丈夫」を合言葉にしてやってきた訳です。
それがあったからこそ、組織運営や戦い方がブレなかったことが、今年の成果の大きな要因だと思います。
自組織を見回した時に、自分が求めているレベルとは違うメンバーが集まったり、まだまだ一人前ではないメンバーがいたりする訳ですが、それを所与の条件としてどう向き合い、戦略を立てるかがマネジャーの腕の見せ所です。
勝ち続ける組織を作るためには、足場固めの年も必要です。短期で成果を出せないのであれば、中長期で成果を出し続けられる状態をどう作り上げるかを考え抜くことが必要です。
現有戦力を言い訳にするのではなく、どう組織を作るか、いかに気持ちよく目標に向けて走ってもらえるように導くかを考え抜かなければなりません。成果が出ていない時に、メンバーの人数や能力が足りないことを言い訳にするのではなく、自身が勝てる戦略を描けていないということに向き合うことが肝要です。