お客様志向のDNAを組織に形成するメカニズム
こんにちは、homie株式会社の不動産営業DXおじさんこときのしたです。
先日、岡山県で地域No.1ビルダーとして活躍されている株式会社ヘルシーホームの河井敏宏社長にインタビューをさせていただきました。
地域とお客様に徹底的に向き合い、お客様の要望に応えるために試行錯誤(トライ&エラー)を繰り返す組織風土に感服しました。そして、それは素直に物事を捉え、取り入れることができる社長のスタンスが為せる業だと感じました。
社長のお人柄もそうなのですが、最も印象に残っているのは、”地域に詳しくなることについては求めているのか?”という質問に対し、「求めているというよりは、それがヘルシーホームのDNA。」と回答されていたことです。
お客様の理解を深め、そこに対してチャレンジをし続ける。これがヘルシーホーム様が地域No.1ビルダーにまで成長し、No.1であり続けられる理由なのだと感じました。
やはり、組織としてお客様を向き、お客様の要望に応えることに全員が一生懸命になれる組織は強いです。そこで気になるのが、お客様志向とチャレンジ精神を組織に根付かせるには何が必要なのか?という点です。
今回は、そこに対しての私なりの考察を述べてみます。
ヘルシーホーム様のDNAを形成するメカニズム
先日の記事で触れた「経験からの学習」でも、個人の素養と組織の素養の両輪が大事であると述べられていますが、個人としての素養である「目標達成志向」と「顧客志向」という2つの信念は、組織における”内部競争”と”顧客志向”という組織風土によって磨かれます。
ただし、内部競争は、売上・利益などの財務業績だけではなく、アイデアや提案内容、プロセスなどの知識や行動も評価対象とし、チーム単位での業績評価が組み込まれていることが良いとされています(そうしないと、協調性が失われるケースがある)。
つまり、”顧客のニーズを理解し、そのニーズに応える”という考え方を組織のベースに置きながら、売上の結果ではなく”いかに売上を挙げたか(プロセス)についての競争”が組織内にあることが重要になります。
これを、顧客主導のプロセス型競争と呼びます(松尾睦,2006)。
例として、お客様のニーズを聞き、応えようとする意志の強い組織に所属する営業担当の行動を考えてみます。
例えば、営業担当者が聞いたお客様のニーズが、自分には解決できないものだったとします。その営業担当者がお客様のニーズに応えようと思うと、自分が持っていない知識を他の営業から収集する必要が出てきます。
その時に、お客様のニーズに応えるための知識と行動が評価される組織であれば、他者のために知識を提供することが自身の評価に繋がるので、知識を隠すことなく、共有するという行動が起こります。
上記のように、組織内での知識共有が促進されることによって、組織の価値提供力が上がっていきます。さらには、既存の施策ではニーズを満たせなければ、新たな施策へとチャレンジするようになります。
つまり、ヘルシーホーム様のDNAは、上記のようなメカニズムで形成されていったのだと考えることができます。
お客様の声を聞きすぎてはいけない
ただし、大事なのは”お客様の声を聞きすぎない”ということです。
一見、矛盾するように聞こえるかもしれませんが、お客様の声を聞いてそのまま応えようとすると失敗します。マクロミル在籍時に、最もよく言われていたのが、”調査をやっても売上は上がらない”、”データを基に商品を作ってもうまくいかない”ということです。
お客様に対し、「何が欲しいか」と聞いてもうまくいきません。正確には、それを聞くだけでは不十分です。
なぜなら、人は自分が欲しいものを実はよく分かっていない(=分かっていても言語化できない)からです。いままで自分が接してきた情報(Perspectiveと言ったりします)の中で、「これかな?」というものを口にしているだけなのです。
有名な例え話ですが、江戸時代に「どんな移動手段が欲しい?」と聞いたとしても、「いまより速く走れる馬が欲しい」とは答えても、”車”とは答えませんし、iPhoneが出る前にスマホが欲しいとはならないですよね。
これが、調査からイノベーションが生まれないと言われる所以です。
顧客情報を活用する際に気をつけるべきポイント
住宅・不動産業界に話を戻します。
我々は、HOTLEADを通して顧客情報をヒアリングし、住宅・不動産会社様にお渡しをしていますが、その情報は絶対ではありません。コンシェルジュが電話で話をしたタイミングでお客様の頭の中にあったイメージであり、その時に浮かんだ言葉だからです。
だからと言ってお客様がお話された内容に意味がない訳ではありません。それもお客様にとっての事実です。
大事なのは、お客様からヒアリングした情報から、「なぜ狭すぎるのはNGと言っているのだろう?」「なぜ予算が2,500万円と答えたのだろう?」「なぜデザインを重視しているのだろう?」と、お客様が仰ったことに対して疑問を持ち、その裏にある価値観や考え方を商談の中で抽出していく必要があります。
そして、商談の中での会話を通じて、お客様の認識を新たな情報によって書き換えていき、自社にとって望ましい認識や判断基準に導くことで、自社で契約する必然性を生み出していく(下図参照)。これが、TOP営業がやっていることであり、以前に述べた”チャレンジャーセールスモデル”に書かれている”指導→適応→支配”に通ずる内容です。
お客様が言っていることを鵜呑みにせず、この認識がどこから来ているものなのか、どんな情報をどのように判断しているのか。ここを紐解いていくことが、お客様を自社の成約に導くための大きなヒントになります。
HOTLEADコンシェルジュがヒアリングしている情報をうまく活用し、事前準備をきちんと行うことで、初回商談でお客様をグリップできる確率が上がっていくはずです。